会員日誌(2005年8月1日)

北信の暮らしぶりを紹介してくれるのは、山本カズさんです。


 暑いですね。夏本番です。我が家には、ネコ3匹に、犬2匹いますが、今年は、新しい「住人」が来て、元気に走り回ってます。というより、飛び回ってます。日本ミツバチです。この地で、何百年、何千年と生き続けている土着の蜂だそうです。

 ある日、おじさんがやってきて、巣箱をおいてったのですが、田舎ではよくあることなので気にしないでいたら、5月の末の天気のいい日。朝10時くらい。ごーーーーっていう音がして、なにげなく、外を見ると、なんと、蜂の大群。空中、蜂だらけで旋回しています。ぶん、ぶんではなく、ごー、ごーっていう地鳴りのような音。まわって、まわって、だんだん、小さくなって、巣箱の回り中、びっしりはちだらけになって、中に入ってゆきました。突然の出来事に驚いていると、蜂おじさんがやってきたから、なおびっくりしました。「はいりましたよ」っていったら、「やっぱりね、こういう風のない日は、分蜂(ブンポウ)が始まるかなって、きたんだ」「ものすごい蜂でした。感動しました」。それから、おじさんは、ひとしきり質問にこたえてくれました。この近くの、裏山に、かえでのおおきな木の中に本巣があって、そこから、分蜂がはじまること。日本ミツバチは、西洋ミツバチと違って、人間が関わってない野生の蜂であること。クマがこない、雨の当たらない、適当な場所をさがして、まず、偵察隊がやってきて、OKだったら、女王蜂と何千匹が一気に分蜂すること。蜂おじさんは、明治時代から、ひいおじいさんがはじめて、自分も興味を持って、はじめたこと。この人は本当に蜂が好きなんだって、なんだか、うれしくなりました。ぼくたちが、都会から移り住んだこの土地で、何千年も生きてきた日本ミツバチが愛おしくさえなりました。人間の小さな世界を超えている、おおきな宇宙の知恵とエネルギーで生き続けている日本ミツバチ。彼らが選んだすばらしい土地に暮させていただいてることに、幸せと感謝を感じています。

長野には、日本の昔からの景色がたくさん残っていますが、中でも惹かれてるのが、土蔵です。かやぶきももちろんステキなのですが、土蔵の土壁にドキドキします。この土蔵は、赤っぽい土が、下地に塗りこんであって、はげたかんじがとてもすきです。朽ち果てる寸前で、下地の竹がでてるのも出てるのも、味があります。家具につかってみたいなって、思ったりもします。土俗って、言葉はまさに、土ってかきますが、田んぼをやったり、自宅を作ったときも土壁にしたりしたのも、土が、なんともいいのです。土は、気持ちいいものです。触ったり、形にしたり、なんとも、いいものです。命が芽生えてくる大地ですから、あたりまえですよね。都会に憧れてた少年のころ、家周りをコンクリートで、おおってってゆくのがうれしいときがありました。ぬかるまないし、汚れなくなるからって。長靴なんていらないって。今、まったく、逆を生きようとしてます。土の豊かさ、味わいの深さに驚かされます。 「ドゾク」でいきたいですね。これは、とてもいいかんじです。


木の花も、長野に着てから気づきだしたすてきなものですね。春は、さんしゅうからはじまって、梅、こぶし、桜、みずき、桐、藤、ほう、くり、あじさい、そして、ねむの木、、、。花札の世界です。緑の舞台に主役が入れ替わるように、木の花は、咲きます。静かに、淡々と、うつりゆきます。その中で、暮して本当に幸せを感じます。木で、家具を作って生計立てさせていただいてますが、板よりも、生の木の生きてる姿に、力づよさとか、エネルギーとか、感じるようになってきてます。伴に、ここで、生きてる同士のように、愛着さえもったりしてます。ときどき、人がみてないところで、だきついたりします。

 丸太から、椅子を作ったりしてますが、いのちのエネルギーが、作ってるぼくをとてもきもちよく、させてくれます。木って、たくさん、与えてくれてくれます。


ネコは、気持ちよさを追求する天才ですね。季節、気温、天気によって、刻々と居場所を変えますが、実に見事です。最近のお気に入りは、このかみさんが、買ってきた「無印」の椅子です。2匹で、3匹で、川の字になって寝ています。かみさんがくると、「きみたち、どきなさい」ととられてしまいます。窓際で、風があたり、気持ちいいところです。なんとも、実に正直で、そのままな生き物です。いつか、ねこたちとかみさんが、とりあうような椅子をつくってみたいものです。


工房 野良 山本カズ